(不動産コラム)接続道路のない土地を再建築可能にするには、「みなし道路」を活用する。


□(不動産コラム)接続道路のない土地を再建築可能にするには、「みなし道路」を活用する。

 

不動産屋のビジネスをしていると、いろいろな種類の相談を受けます。そのなかでも、土地を購入したのですが、その購入した土地に接続道路がなく建物が建てられないので、近隣の土地の買収を依頼したいという話があります。

 

不動産の土地を購入する際にもっとも注意しなければならないこと、「接続道路、前面道路幅 接続幅」という問題です。

安い土地というのは、訳あり物件ということを言いますが、安いには理由があります。特に、意識せずに購入すると、永遠に建物が建てられない土地があります。

 

接続道路のない土地でも、歩いて近隣の土地に隙間があれば、道に出ることができるので、何も問題がないということを言う人がいますが、これは、法的には、接続道路がない土地には、建築許可をとって建物が建てられません。でも、現実には、接続道路に接していなくても、家は立っています。今は、大手住宅メーカーは、コンプライアンスの問題が厳しいので、そのような違法建築をたてることがありませんが、小さい工務店や知り合いの大工さんにお願いして建築許可を取らずに建物を作っている場合があります。当然、そんな家は、違法建築です。しかし、木造住宅に関しては、建築基準法は、特に厳しくなく100平米以下の2階建てなら、究極言えば、大工じゃなくても素人の人、究極は、オーナー自身が日曜大工をして建物をつくることができます。

違法ではありますが、建物は立っているケースがあります。

さて、そんな土地の場合、転売するには、再建築不可ということで販売されている場合はおおいのですが、再建築不可物件を再建築可能にするには、接続道路につながる土地を私道用の土地として購入する必要があります。

 

過去にも何度かそのような依頼がありました。

つまり、接続道路がないので、激安で土地を取得できたが、あとになって、問題の大きさに気づいて、なんとか、接続道路につながるための土地を探して購入しなければ、理想の建物が建てられないということになり、近隣の土地が購入できないか、近隣者と相談をしてほしいと言われるケースがあります。不動産屋から言わせれば、あまり面白い仕事ではありませんが、土地オーナーから言えば、その土地が、再建築不可の土地から再建築可能になるということで、一気、不動産価値を高めることができます。 よくあるのが、私道をつくり、公道と接続させて、再建築可能な土地にするという方法です。「みなし道路」といいます。

みなし道路とは

 

幅が4m未満の道路であって、建築基準法第42条第2項の規定により、道路であるものと「みなす」ことにされた道路のこと。

 

その法律の条項の名称を取って「2項道路」と呼ばれることが多い。

 

建築基準法第43条では、建築物の敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。

 

ここでいう「建築基準法上の道路」は、原則として幅が4m以上あることが必要とされている(建築基準法第42条第1項)。

 

しかしながら、わが国の現況では、幅が4m未満の道が多数存在しているため、次の1.~3.の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられている(建築基準法第42条第2項)。

 

1.幅が4m未満の道であること

2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと

3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと

 

これらを、その条文名をとって「2項道路」と呼んでいるのである。

 

こうした2項道路に面している土地については、道路中心線から2m以内には建築ができないという制限(セットバック)があるので特に注意したい。

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都会などで入り組んでいる土地には、特にみなし道路によって、再建築不可の土地を再建築可能にしている場合が多くあります。東京の下町、23区内でも区画整理のついていない住宅地などは、戦後復興期に乱立して住宅が建設された地域では、人がひとり歩くのがやっとという土地が多く、狭い道が多数入り組んでいる地域があります。そのような地域の土地は、公道はなくほとんど迷路のようなみなし道路によって、土地と公道が接しています。

 

みなし道路の概念が理解できれば、建築不可の土地でも建築可能にすることができ、不動産価値を高めることができますが、問題は、近隣の協力なくしては、みなし道路を作ることができませんので、これも大変な作業といえます。